ナッジの利用②行動特性

確かにね~と思う話がいっぱいでした。

こんにちは!麗子です。昨日からの続き、ナッジの利用について。ナッジとは、人間の行動特性を利用することで、多くの人を「自然と」「自発的に」動かすための手法です。人は非合理的なもの。なんとなくそうしてしまう、という感覚的なものに訴えていけば、変化も早い、というわけです。

行動特性の主なものには下記のようなことがあげられます。(今日は前半として4つご紹介します。)

1.興味があることだけ目に入る、耳に入る。・・・脳の注意力には限界があるので、意識が向いているものだけをとらえる習性があります。受験生になったら予備校の看板ばかりが目に付く。食べ物の興味がある人は食べ物の、美容に興味がある方はお化粧品のコマーシャルばかり気に留まる、など。多くの情報から、自分に興味のあるものだけを抽出しないと、情報過多で何も見つけられない状況になってしまうのです。

2.「理解する」ことをストレスと感じる。・・・時間をかけて理解しなければならないことは、脳の負担に感じて後回しになります。より簡単に理解可能なもののほうが受け入れやすくなります。文字で書くより写真や映像にまとめる、などイメージがすぐにとらえられるもののほうが受け入れられやすくなります。

3.今のままが安心。(現状維持バイアス)・・・考えること自体がすでに負担。人は考えずに選べる状況を好みます。「いつものでお願いします。」と頼めるお店を楽だと感じたり、新しい出会いを求めるよりも、とりあえず慣れた人と一緒にいるほうが楽だと感じたりする心理です。いつも同じ人とつるんでいる、同じような服を選ぶ、同じお店で買い物をする、携帯電話をいままで使っていた機種と同じメーカーのものを選ぶ、など、使いなれたものから新しいものに変わるのを面倒だと感じてしまう特性があります。

4.得る喜びよりも、失う痛みを優先して考える。(損失回避)・・・最近、「精神的な手放しを行うとよい。いままでの価値観を一度捨ててみる。」などとよく言われたりしますが、これが難しい所以は、「失うこと」に恐怖を感じてしまうという人の行動特性にあります。今の環境を捨てることで、新たな環境に移れることは理解しているものの、新たなものに対する不確定要素を恐れ、今のままでもなんとかできるのではないかという期待をしてしまうのです。現状維持バイパスと損失回避がタッグを組むと、なかなか変化を受け入れられない心理状況におちいります。

これらの解決策として、単純化する(デフォルトを変えてしまう、見ただけですぐに分かるようにする、イメージで訴える、自動継続、手続きの簡略化)、見慣れてもらう、お得感を感じてもらう(ポイント、特典、会員限定)、喪失感を回避するなど、いろいろな手法があります。

次回は、行動特性の続きをお話ししていきましょう。