ナッジの利用①

ナッジ?聞いたことない・・・私もそうでした。

こんにちは!麗子です。行動を変えてもらおう、と思っても、人を動かすというのは本当に大変です。健康経営を推し進める際に一番の阻害要因となるのは、実は「動こうとしない人」。自分事だととらえられない無関心型、誰かがやってくれるだろうという依存型、なんでこんなことをしなければいけないのかという反抗型、いろいろなタイプの人がいる組織で、新しいことを推し進めるためには、「納得してもらう」手段のほかに「何気なくそうしてしまう」という人間の行動特性をとらえたアプローチが必要となります。人間は非合理的なものであることを頭において、理屈、理論を押し通そうとしないほうが案外うまくいくケースが多いのです。

松竹梅とあるお料理のランク、竹が一番売れる、などというのもその一つ。1,000円と1,500円の商品で1,500円のものを買ってもらいたい場合は、さらに2,000円の商品を用意する。こういった行為を行動経済学として学んだ方は多いのではないでしょうか。1,500円の商品のお得感や1,000円の商品との違いを一生懸命に説明するよりも、より簡単に実行動に移してもらうことができる。この行動特性を利用するのです。

働き方改革でこのナッジが大変有効だった例として、日勤と夜勤の看護師さんの制服を色分けした病院のお話があります。これまでこの病院では、残業が多くて働くナースの皆さんが疲弊していました。人件費もかさみます。日勤と夜勤で制服の色が違えば「この人はそろそろ終業時間だ」と可視化できるため、周囲もその準備行動を取れるようになりますし、自分だけが違う色の制服を着ている、ということで本人も居づらくなるという自然の成り行きから、残業が減ったというのです。

このように、人の自然の心の動きを利用することで、行動を良いほうへそっと後押しする。ナッジを有効に利用することが健康経営の近道になります。

次の回では、人間の行動特性について、主なものをご紹介します。