個々の「幸せ」というものは、とても概念的で、一言で語りつくせないものです。ある人にとっては幸せでも、ある人にとっては幸せではない状況は多々あります。個性に左右されますし、組み合わせによっても左右されます。年代により変化もあります。
この多様性に満ちたものを取り組みの「目的」とすることはとてもハードルの高いことですので、まずは「選択できる」環境をつくることが近道です。
仕事は、会社でもできるし、自宅でもできる。レンタルスペースでも、ホテルでもかまわない。安定した通信環境が確保できる場所ならどこでもよくて、それを自分で選べること。そのためには何を整備していけばいいのか、と考えていけば、具体的な行動は見えてきます。
自分の得意なことを自分の業務とできる環境を作ることも必要でしょう。苦手なことはやりたくない、ではなく、得意を生かすためなら苦手なことも「いや」ではなくなるという経験は、おそらく起業をされている方なら実感があると思います。これは「働き甲斐」というところに源泉があるのかもしれません。「働き甲斐」を感じて生きているか、どんなときに「働き甲斐」を感じるのか。個々の違いは強みです。そこに気づけるかどうか、は、とても大切な「変革」のためのマインドセットだと感じます。
また、個人の都合を「わがまま」にしないことも大切です。申告する側、申告される側、双方に「結果として求めること」が明確化されていれば、その基準に到達していれば〇である、という判断が可能となります。「仕事」のゴールにあたる「結果」が皆からはっきりと見えていることも大切となってくるでしょう。
求める幸せは個々に違いますが、そもそも、私たち人間はまるっきり同じ個体が存在しないことが自然です。自然という秩序を大切にしながら、人類としての、地球に生きる生物の一つとしての全体性に照らし合わせながら生きることが、これからの社会に大切な考え方となってくると思います。秩序のなかの自由。
つい先日鬼籍に入られた稲盛和夫氏の言葉を思い返します。「利他の心」があれば、短期的な損に一喜一憂することなく、長期的な幸せを得ることが可能・・・自分のやろうとしていることは、社会にとって善であるか、私心はないかを常に自問されたそうです。京セラさまの経営理念「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」とは、まさに健康経営のさきどりだったのかもしれません。